短編小説 exorcism ④ 完結
無惨な娘の姿み見て膝から崩れ落ちた。
しかし、なぜか悲しみも吐き気もなかった。
思考が停止したからなのか。
いや、思ったよりも冷静だった。
貴子はまず窓を開け換気をした後、警察に通報した。
遺体には触れないよう娘の傷を確認し胸の周りに刺し傷があるのを見つけた。
友人が死んだ時にも同じような刺し傷があったと聞いた。
そして、部屋を出たところで床に付いたわずかな血痕を見つけた。
血痕を辿ると風呂場へ着いた。
犯人は娘を殺害した後、風呂に行き返り血を洗ったのか。
貴子が買い物に行き戻ってくるまで約25分。
家の鍵はすべて閉めていた。
その時貴子は家に入った時に鍵を開けたのを思い出した。
玄関の鍵を閉めて出て行ったのか、それともまだ家の中にいるのか。
謎は深まるばかりだ。
念のため、外に出て警察を待った。
まもなく警察が到着し、会社から呼び出した夫と共に事情聴取を受けた。
日付が変わる頃終わり、家は立ち入り禁止のため近くのビジネスホテルに泊まった。
心身ともに疲弊しきった2人は風呂も入らずベッドに横になった。
夫はその時、貴子の小指の爪と指の間に血が固
まったようなものを見た。
しかし、疲れきっていたせいか特に気にせずその日は寝た。
次の日、娘と同じ殺され方で夫がホテルで発見された。
〜完〜