打倒 天声人語
小中学生の時って朝読書の時間があったよね。
朝一の脳は情報をインプットしやすいから効果的らしい。
当時は小説読んでたけど、英単語帳とか読んでれば良かったのかな。
天声人語を書き写したりもしてたけど、何もインプットされてないなあ。
それはさておき、最近は朝早く起きて読書の時間を作っている。
直近で読んだのが、「君が電話をかけていた場所」「僕が電話をかけていた場所」という小説。上下巻。
またまた三秋縋。
主人公は顔半分に大きな痣がある深町陽介。そのせいで、周囲と上手くいかず何事も一歩引いて物事を見ている。
高校入学直前に痣を消す代わりに、小学生の頃惹かれていた女の子(初鹿野唯)と両思いにならなくてはならないという賭けを謎の女に持ち掛けられる。
賭けに負ければ死んでしまうという。
初鹿野は3年会わない間にある事をきっかけに人格が変わってしまっていて、両思いになるのは絶望的。
そんな時新たに現れる、荻上千草という女の子。
この子がどうしようもないくらい可愛い。
毎回この人の小説に出てくる女の子は魅力的だなあ。
上巻の方では多くの伏線を撒き散らし、この後の展開に期待を胸を膨らませる。
下巻では意外な展開。
伏線回収ラッシュ。
本当に止まらなく読んでしまった。
ラストの終わり方も案外スッキリしていて、いい感じに余韻に浸れた。
伏線や設定が複雑な所があって、読み終わった後に少し不完全燃焼な所もあったけれど、それだけ入り込んでたという事だし、読了後に色々考えることこそ醍醐味である。
あとがきには、サマー・コンプレックスについて書いていた。
サマー・コンプレックスとは夏を強く感じさせるものを見るたびに憂鬱になる。
その人たちが言うには自分は「正しい夏」を送った事がないから憂鬱らしい。
本書では眩しく、羨ましいくらいに「正しい夏」が表現されていた。
ただ、私自身はサマー・コンプレックスではない。
世間一般の人が考える「正しい夏」はエアコンの効いた部屋で小説や映画の中で楽しめばいいし、それが私にとっての「正しい夏」だからだ。
熱中症には気をつけよう。
あぁ、このブログも将来、天声人語のように小中学生に書き写しされないかな。